日曜日、定禅寺ストリートジャズフェスティバルの二日目にいかないで、近所のおうちに招かれてバーベキューをする。
きのうの音楽祭にSさんが誘ってくれたのは駅前の「おちゃや」でのことで、おなじときにパートのKさんが自宅の雨樋が流れなくて、かといって夫婦だけでは高所作業もできなくて困っているとはなしておられた。
Sさんは電気の仕事をしておられて、アンテナの設置やなんかで屋根のうえまで登ることもおおいようだ。組み立て式の足場をもっていって作業しましょうか? とSさんがいえば、夫がバーベキュー用に自作した設備があるので、せっかくならマスターもあそびに来てほしいしみんなでお昼あつまってやりましょうよといって、たまたま居合わせたぼくまで誘ってもらった。
Kさんご夫妻はぼくより二年か三年先立って東松島に移住してこられた先輩がたで、もとは東京で左官職人をしていた経験もあって、空き家を自力でフルリノベーションして住まわれている。そのお家をみせていただくと、床や壁や天井は広く、家具や照明はそこここで気の利いたはたらきをして、古い普請をうまく再利用して家族写真や茶器なんかを粋にディスプレイしている。こだわりとか愛着はひとしおだろうに、あんまり自慢げにするでもなくひょうひょうと案内してくれるのがまた、いい仕事を成し遂げる職人さんの佇まいで、一同「すごいねえ」とことばを失っていた。
バーベキューの設備は家の裏にある広い庭の一角で、もとは理科の先生が住んでいた古民家とのことで、巨大なケヤキを中心に、クリにイチジク、サンショウまでいろんな木がひろい裏庭にちりばめられている。4歳と2歳のお子さんたちはその庭でシャボン玉を飛ばしたり、バケツに砂利を詰めたり、木に登る。それを知らないおじさんたちに自慢気にみせつけたりして、思う存分あそんでいる。
KさんもSさんもバーベキューには手慣れていて、ぼくがひとの庭でひとの子どもたちのシャボン玉爆撃を食らってあそんでいたうちに気づいたら炭には火が点いているし、かぼちゃと玉ねぎはもう焼き上がっていた。こどもたちは拾ってきた栗ふたつをおかあさんに向いてもらって網のうえに乗せていた。
利府で週末だけ営業しているという「びっくり市」でSさんが朝から仕入れてきてくれたお肉は、焼き鳥にホルモンにやわらかくておおきなラムチョップ、それに牛タンのおおきな塊。そのうえマスターがお店で出している特製のチーズウインナー(絶品)を持ってきてくれていて、ぼくはといえば完全に上げ膳据え膳となって、気持ちいいお庭でおいしいお肉をいただきます。
ひとしきり食べ終わってひとやすみしたら、家の表にまわって雨樋の点検をします。Sさんが足場を組み立ててみずから登って、ケルヒャーの水圧を雨樋に向けて撃つと、泥の飛ぶわ飛ぶわで、壮観です。排水口のところには詰まった土のうえに草が芽吹いていて、水圧はそれさえものともせずに吹き飛ばしています。足場をすこしずつ移動させてはまたやりなおすのを何度か往復します。
足場を支える役を下でして、上から降ってくる泥を胸や腕に浴びているのに気づけば、雨樋のような高所にこれだけの土が浮いているのはおどろきです。風で舞い上がった細かい土やら黄砂やらその他のチリやらが屋根に積もる。雨がそれを流す。雨樋に流れ込んで、じわじわ詰まる。こういうことは、古い物件によくあることのよう。
足場をスルスルと解体して水洗いして、タオルで水を拭き取ったら、拭き上がったものから手際よくSさんのミニバンへとしまわれていって、あとかたづけもおしまいです。
お会計は、子どもも合わせて8名分のお肉を5人で割って、ひとり三千円弱となります。利休の六切れセットとおなじくらいの支出でこれだけの牛タンを食べられたとおもうと、バーベキューっていいよねえ、とみんながしみじみおもったところで、解散です。
2歳の弟くんはいつのまにか疲れてお昼寝へと去り、4歳のお姉さんはバケツに砂利を詰めてこれはケーキだと言い張っています。